ライトノベルや読書に関するお話をさまざまな人にお聞きする本インタビュー企画。今回はWEB小説投稿サイト「カクヨム」の運営に携わっている方々にお話をうかがいました! WEB小説界の動向や、カクヨムで面白い作品を探すコツ、いま注目の作品などなど……日々たくさんの作品にふれている運営さんならではの回答にご期待ください!
――WEB小説の世界ではこれまでさまざまな流行がありましたが、運営サイドとして個人的に注目されている動きがありましたら教えてください
「社会人ラブコメ」
かつて2010年前後くらいに一大旋風を巻き起こした学園ラブコメ。それらを読んで育ったかつてのラノベキッズが社会人になった現在、「昔と変わらぬテイストを持ちながら今の自分でも共感できるシチュエーションの作品が読みたい……」と思った結果生まれたジャンルと推測しています。
「ラノベのメインターゲットは10代なので、その読者層が共感する内容にしましょう」といった、商業主体ではなかなか生まれにくい発想なので、これぞまさにWEB小説ならではの動きと言えるのではないでしょうか。
(カクヨム運営Iさん)
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「ざまあ系」
いま勢いがあるジャンルに「ざまあ」「ざまあ系」と呼ばれるものがあります。「ざまあみろ」から派生したネットスラングの「○○ざまあ」という表現から想像されるように、ひどい目にあわされた主人公(特に婚約破棄が多い)が相手方に復讐をしていく、という展開の作品を指します。
元々「ざまあ」は「異世界転生」の一ジャンルである「悪役令嬢もの」の一要素にすぎませんでしたが、「ざまあ」という展開自体を好む人が増えた結果、最近では男主人公の現代ドラマにもこうしたタグ付けがなされているのが興味深いところです。
WEB小説のジャンルのこうした進化のありかたは、平成以後、百花繚乱となったラーメンに近いものを感じます。食べ歩きの中でラーメン屋が理想の味を求めて既存のものを改良し、次々と新しいジャンルを開拓していったように、WEB小説においても面白い作品を見つけては「もっとこの要素を強くして面白くしよう」という、読者であり作者である皆さんのイノベーションが日々行われています。
一見同じように見える作品群でも、どれもそれぞれに個性的ですので、食べ歩きをするような感覚でいろいろな作品を読んでみてください。
(カクヨム運営Aさん)
――運営だからこそ知っている、カクヨムで面白い作品を探すコツがあれば教えてください
1.読んで「これは面白い!」と思える作品をまず一つ見つけてください(ランキングなどを参考に)。
2.その作品のレビューの中から、一番共感できる文章を書いている人を探しましょう。
3.気になるレビューを書いた人を見つけたら、その人が他にどんな作品をレビューしていたり、フォローしているかをプロフィール欄からチェックします。
4.自分と感性が近い人を参考にすれば、自分にとっても面白い作品に出会える可能性が高いです。
(カクヨム運営Iさん)
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初めてサイトを訪れたときは、ランキングはもちろん、書籍化作品や注目の作品をチェックして自分好みの作品を探していました。
また、Twitterで「#カクヨム」と検索して面白そうな作品がないか探すこともありました。そのようにして、お気に入りの作品が見つかったあとは、カクヨム運営Iさんとほとんど同じ探し方をしています。
(カクヨム運営Yさん)
――運営チームの皆さまのオススメの本があればぜひ教えてください
『オタク同僚と偽装結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど!』/コイル(著)
同人作家であることを隠して生きるOLの咲月とドルオタイケメンの滝本さんの偽装結婚物語です。オタク同士がお互いの趣味を尊重しあいながら仲良く暮らす日常がとにかくうらやましい!「2人のように幸せに暮らしていけたら」と願わずにはいられない、オタクの理想を描いた作品です。
(カクヨム運営Yさん)
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『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた』/七斗七(著)
清楚系としてデビューするもイマイチ人気が伸びなかったVTuberが、ふとしたタイミングで配信を切り忘れた結果、酒乱である自身の素の姿がバレてしまい…!?
WEB小説の「VTuberもの」のジャンル勃興に寄与した作品。私自身VTuber好きでよく観ているので、とにかく「わかる!」とうなづきながら読みました。コメ欄の勢いやVtuber同士のからみ、あたかも中の人が書いているかのごときリアル感が素晴らしいです。
VTuber好きはもちろん、ぜひ本職VTuberの皆さんにも読んでいただいて、自分ならではの「VTuberなんだが~」を投稿していただけるとうれしいです。
(カクヨム運営A)
いかがだったでしょうか? カクヨムで面白い作品を探すコツなど、ぜひ参考にしたいですよね! 未来の人気作となる原石を、誰よりも早く見つけちゃいましょう!
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