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公開する勇気さえあれば、多くの人に読んでもらえるチャンスがある:カクヨム編集長・河野葉月

いまや数多くのライトノベル作家を輩出しているのがWEB小説。その投稿プラットフォームの一つが「カクヨム」です。今回はカクヨム編集長・河野葉月さんに、WEB小説についてや、未来の作家さんたちへのメッセージまで、いろいろなお話を聞いてみました。


――WEB小説はその他の小説と比べ、どのような特徴がありますか?

河野:WEB小説の主な特徴として、「連載形式で長編の物語を前提としている」「一話ごとに区切りがあり、短い物語の連なりとしても楽しめる」というものが挙げられます。

書籍として売られている小説は、一冊として提供されることを前提に物語、世界が構築されていました。一方、WEB小説では作品がリアルタイムに追加されていきます。

読者にとっては、結末まで完成された物語を一気に紐解くのではなく、随時追加・更新されていく物語を少しずつ受け取って楽しめるところにWEB小説の本質があると考えています。

「週刊連載・月刊連載で確立された漫画文化のフォーマットを小説で再現した世界」とも言えるかもしれません。


――WEB小説がより多くの方に読まれるために、力を入れて取り組みたいことはありますか?

河野:カクヨムを運営するなかで大事にしていることが2つあります。それが「WEB小説を楽しむ人々の総数をこれまで以上に増やしていくこと」と「いまWEB小説を楽しんでいる人の満足度を上げること」。

それぞれには異なるアプローチが必要ですが、共通して言えるのは「さまざまな人が思い思いに楽しめるような受け皿を大きくする」ことが大事になってくる、ということです。

WEB小説の発展のために、敷居を下げて多様性を確保し、誰でも楽しめる文化となることを目指していきます。


――「カクヨム甲子園」という高校生のための賞を毎年開催されているほか、様々なコンテストを開催され、若いWEB小説作家さんが積極的に参加されているとうかがいました。そうした状況をどう見られますか?

河野:カクヨム甲子園は今年で6回目を迎えました。毎年1000件を超える応募を、高校生からしてもらえるコンテストを開催できることは、大変ありがたく、やりがいも感じています。

インターネットにより居住地や年齢などによる制約が取り払われた結果、実世界でどんな立場であっても、創作物と公開する勇気さえあれば、多くの人に知ってもらえるチャンスが生まれたことがその背景にあると思います。

若いWEB作家も急に出てきたわけではありません。昔から一定数いた「表現したい人」が活躍できる場所をカクヨムが提供できたからこそ、応募数や毎年の盛り上がりに繋がっていると思います。

創作を支援する立場として、また社会を支える一人の大人として、若い人たちの将来に繋がるチャンスを今後も力を入れて提供していきたいと考えています。


――本を読むのが楽しかったな、と感じた、最初の思い出を教えてください

河野:読書の楽しさの最初の思い出はまったく覚えていないのですが(たぶんなにかあったから、読書の習慣が小さいころからついていたんだと思います)、ミステリー好きになったきっかけは、小学校高学年のときに小学校の図書館で借りて読んだ「シャーロック・ホームズ」シリーズ/コナン・ドイル(著)です。

謎解きをするホームズとワトソンが格好よくて、当時の自分の環境とはまったく違うロンドンにも憧れ、何度も読み返したくて、親に買ってもらったのを覚えています。


――ご自身の読書経験が「カクヨム」の運営に活かされていると感じることはありますか?

河野:自分がジャンルに限らずいろいろ読みたい人間なので、なるべくいろいろな作品が投稿される場所、訪れた読者が自分の読みたい作品を見つけられる場所にしたいと思いながら運営しています。

たとえば私はミステリーが大好きなのですが、一般にはWEB小説の中では活発とはいえないジャンルです。そのようななかでもカクヨムでは商業経験のあるミステリー作家さんも多数活動されています。

その方針がユーザーのみなさまに伝わっているからこそ、いまのカクヨムがあるのではないかと考えています。


――「次にくるライトノベル大賞」の開催にあたり、カクヨム編集長として期待や要望などはありますか?

河野:ライトノベル・新文芸の作品は特にカクヨムとも相性がよく、これまでもさまざまな人気作品が生まれてきました。そして商業作品の世界が盛り上がることは、UGC(※)の世界にもきっと良い影響を与えるはずです。

このような賞を開催することで、出版社や商業作家のほか、WEB小説サイトやアマチュア作家など、広く業界全体が活性化したり、新たなブームの掘り起こしに繋がるはずです。そうして将来的には作者や読者、アマチュア・プロを問わずに、ライトノベル・新文芸ジャンル全体が成長してくれることを願っています。

※UGC=一般ユーザーが作る作品のこと(user generated contentsの略)


――最後に「カクヨム」に投稿されている未来の作家さんたちへ、メッセージをください

河野:「次にくるライトノベル大賞」は商業出版された作品が対象の賞です。しかし、受賞・ノミネートされた作品も、元をたどれば書き手以外の、誰の目にも触れたことのない時代があります。そこから新人賞への応募や、WEB小説サイトへ公開して人気になったことなどを経て出版が決まり、賞に選ばれるまでに成長しました。

どんな作品にもはじまりの時代があります。今まさに「はじまりの時代」にいる方々は、例えばこの賞で大賞を獲得することを目標に掲げるなどで、「自分なりの作品を書き続けていく理由」を見つけてください。書き続けた先に、次の時代が待っているはずです。


公開する勇気さえあれば、多くの人に読んでもらえるチャンスがあると語られた河野さん。いまこの記事を読んでカクヨムで書き始めた皆さんがいつの日か「次にくるライトノベル大賞」をとられるかもしれません。ライトノベル業界の盛り上がりにますます欠かせないWEB小説界の今後が楽しみです!

次回はカクヨム運営チームの方にお話をうかがいます。乞うご期待!

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